世界は、誰が引っ張っていくのか?
金源植 平和統一聯合中央本部事務総長
新秩序となるか
ドイツ・ハンブルクで行われたG20では、世界を引率するリーダーとしてドイツのメルケル首相と中国の習近平国家主席が注目されている。中国からドイツへ6月24日、つがいパンダ“夢夢(Meng Meng モンモン)”と“嬌慶(Jiao Qing チャオチン)”が貸与された。米国のトランプ大統領のお山の大将的なリーダーシップに対し、世界で連携が難しいとされたドイツと中国の蜜月の様子がパンダ外交を通じて伺える。
トランプ大統領は頂上会議前に「アメリカは、世界化をWin-Win(ウィンウィン)ではなく、勝者と敗者が出てくる過程でみている」と発言。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)とパリ協定の脱退に続いて、G20で一人保護貿易主義を主張した。
それに対して、メルケル首相は「嬌慶と夢夢が、ドイツと中国のために特別な大使となるでしょう」とし、トランプ大統領が進める保護貿易主義に対して、解放経済が必要だと主張した。また習国家主席は「高い水準の強力な中露関係を、両国の発展に力をつくし、世界平和と安全のため双暫停※(そうざんてい)を作るつもりだ」とし、自由貿易の実施とパリ協定の履行を行い、更なるアメリカの孤立を生み出し、敵対構造が明確となっている。一方、頂上会議前に習国家主席がロシアのプーチン大統領に会い、今後の新しいリーダーシップについて話し合われたことも見逃すことができない。会談直前に北朝鮮が新たにミサイルを発射したことに関連して、北朝鮮核問題解決に向け中露協力体制の強化の合意が持たれた。
EU(ヨーロッパ連合)に責任を持つメルケル首相とアジアの覇権を越え、世界の指導者になろうとしている習国家主席が、急変する世界情勢の中で北朝鮮の核とミサイルで揺り動かされる朝鮮半島問題を平和的に解決できるかが鍵だ。
インドの宗教対立
インドでは大きく分けて6種類の宗教が信仰されている。(ヒンドゥー教徒79.8%、イスラム教徒14.2%、キリスト教徒2.3%、シク教徒1.7%、仏教徒0.7%、ジャイナ教徒0.4% 2011年国勢調査より)イスラム教徒が牛肉を持っていたと言う理由で、ヒンドゥー教徒から集団暴行、殺人が行われる事件が度々ニュースに挙がる。神聖視している動物の違いが人間自体の命の問題にまで関わっていることが大きな課題だ。このことを受け、インドのナレンドラ・モディ首相は6月29日の演説で「誰も牛の名のもとに人を殺してはならない」と訴えたが、その当日にも東部ジャルカンド州で食肉業者のイスラム教徒男性が集団暴行によって殺害された。
※「双暫停」(そうざんてい):北朝鮮は核・ミサイル開発を暫定的に停止(凍結)し、米韓は合同軍事演習を暫定的に停止して、対話のテーブルに着く