中国の武漢から渡ってきたコロナによって、全世界は死の恐怖の中、経済活動は自宅勤務へと多く転換され、世界的に不安におびえているのが事実である。このような現実からどのように脱皮するのか、個人から国家の為政者、世界の指導者まで知恵を集めて解決しなければならない時代のようだ。あれこれ考えてみると、自ずとこれからどのような世界になっていくのかが気になった。
本は私に話しかける
コロナのため自宅勤務の時間が増え、テレワークが流行語のようにあふれている。このような状況の中で時間を消費していたところ、偶然に本棚から数年前に読もうと購入した本が目に入って来た。宋旻淳(ソン・ミンスン)前外務長官の著書『氷河は動く』という冊子である。その本を読んでみると、しばらくの間忘れていた板門店で発生した「北朝鮮手斧蛮行事件」から、六者会談を通じて2005年に発表された9・19共同声明、喜びと挫折の感情が、今日に至るまでの経緯と共によく説明されていた。この世代の私たちに夢を膨らませてくれた時もあったが、ハノイ会談以後には歴史の繰り返しのような感じがする。この本を通して、国のための外交の道とは、実に困難でつらい茨の道であるということを改めて感じた。
周辺国の情勢
北朝鮮の核問題解決の課題と、台湾の「1国2体制」の拒否とともに、アメリカと中国の貿易戦争がコロナの原因提供に対する攻防の中で、自然と東北アジアに戦雲がたちこめている。このような事がどのように解決されるのか。そして韓国では従軍慰安婦のために活動していた人々が日韓関係を悪くし、親北の立場で運動したという話が広く語られている…。このようなことが同時多発的に起こったり、長い間宿っていた感情が山積みにされている東北アジアを、共生共栄共義主義の方法で解決できないだろうか。このような問題が互いに異なる各位の立場を設定し、相手と対話をしたからといって解けるような問題であるかは怪しく思う。
マスク何枚かの効果
数日前、平和統一聯合の事務所にマスク数枚が届いた。以前、大阪で働いていた時に知り合った方から、在日同胞にマスクを送ったという知らせとともに受け取った。実は、マスク1枚の効力はとてつもない。民団系と 朝総連系の方々も、マスク1枚にも感謝の意を述べるのだ。私たちに必要なものは力の自慢ではないだろう。
ところで数日前、韓国では「玄武4」を発射し成功したという。射程距離が800km離れた目標物に少しの誤差もなく命中したというニュースを見た。静かに平和統一運動を進めていた韓国でさえも、軍事能力と実力を見せたのである。これからはどの国でも、力だけで解決することは出来なくなる。どの国であろうと軽く見て対すれば、互いに傷を与え合うことになるだろう。
ゴレ島の祈祷
最近、韓鶴子総裁の自叙伝『人類の涙をぬぐう平和の母』を読んで、多くの部分が私の心情を震わせた。その中でもアフリカの北西部、セネガルの中の島の1つであり、1500年頃から300余年の間、奴隷島として変化したゴレ島で、韓総裁が祈祷される場面が目に入ってきた。この場面を通して、歴史の痛みに陰ながら、実践躬行される韓総裁の姿こそ、今の為政者たちが行かなければならない道ではないかと考える。
今は国ごと個人ごとに言葉にできない事情がある。今まで隠されていた痛みが現れ、それらを慰労と赦しと和解とともに生きる「地球村一家族」を作る運動が必要であるようだ。
私たちに必要なものは何か
私たちがすべきことは何か。大韓民国憲法第3条によれば「大韓民国の領土は韓半島とその付属島嶼とする」と明示されている。そのため私たち大韓民国に暮らす人は誰でも、自由と平和と統一と幸福の自由を享受する権利がある。
それにも関わらず、分断され不幸な歴史が続いている。このような悪条件の中でも、日本で暮らす在日同胞は一つにならなければならない。互いに批判し合うのではなく、痛みを昇華させ大韓民国のアイデンティティを探して、互いに助け合う運動をしなければならない。
また1人では生きることができないため、共に暮らす社会共同体が形成されているように、国際社会においてはお山の大将俺一人のように生きることはできない。
国と国が共に助け合って生きる世界のために、在日同胞がまず1つにならなければならない。そして祖国に代案を提示する時ではないだろうか。私たちが、小さなマスク1枚で情を分かち合ったように、コロナ19で不安な未来を共に治癒していく代案が、より必要なのではないだろうか?