家庭においては夫と妻が、社会においては人間と人間が、国家においては政府と国民が、もっと広く世界においては国家と国家が、お互いに授受作用をしながら共存している。
古今東西を問わず、いくら悪い人間であっても、正しいことのために生きようとするその良心の力だけは、はっきりとその内部で作用している。このような力は、だれも遮ることができないものであって、自分でも知らない間に強力な作用をなすものであるから、悪を行うときには、直ちに良心の呵責を受けるようになるのである。もしも、堕落人間にこのような良心の作用がないとすれば、神の復帰摂理は不可能である。 (『原理講論』第1章 創造原理 第2節)
未来に何が起きるかも分からない生活を送っている。このような変化極まりない時代に、私たちはどのように生きていくべきか自問自答してみる。国家と国家間の外交問題から家庭と個人のささいな問題に至るまで、問題意識を持って解決するために多くの人々が努力している。このような根本問題は、果たして私たちの力で解決できるのか考えてみる。
我々はアメリカと北朝鮮によるハノイでの首脳会談(2月27,28日)を見守ったが、結局、決裂という結果に終わってしまった。その原因は、米朝首脳会談の議題である「非核化と制裁解除」において、お互いに意見が食い違ったためである。果たして、その意見の差を減らすことのできる道はなかったのか。当局者の事情もあっただろうが、一個人の次元でも考えてみた。
家庭とは何か
先日、京都で『朝鮮通信使ユネスコ世界記憶遺産登録・日韓パートナーシップ宣言20周年記念千玄室大宗匠特別講演会』に参加した。そこで呂健二民団中央団長は「日本で暮らす在日同胞の人生の現場は呼吸と同じだ」とし、朴善岳民団韓国婦人会会長は「日本は在日同胞の故郷である」と述べた。また、千玄室氏は「韓国と日本の両首脳部がお茶の時をともに分かち合えば、両国が友情を回復して平和になる」と語った。
これらの話を聞きながら、家庭とは何かということを考える。結局、人間とは、それぞれの暮らす土地で家族を形成し、絆を結びながら社会生活をする生き物であるという、自然の理知を知ることができる。このような観点で考えれば、人生のすべての問題は、家庭教育が重要である。家庭の中で両親と夫婦、子供が互いに円満な意志疎通と許しと愛、そして信頼があってこそ、和気あいあいとした家庭生活を送ることができる。家庭内で家族の為に生きる事ができない人間が、果たして社会の構成員として円満な生活を送ることができるだろうか?
女性の役割
故に、家庭で最も重要な役割は母という存在である。母も女性であるので、家庭と社会に対しての役割が大変重要かも知れない。このような観点から、安倍昭恵氏を中心に第5回目を迎えた『国際女性会議WAW!/W20』は、私たちに示唆することが大きい。
安倍首相はノーベル平和賞を受賞したマララさんを「女の子の教育の重要性を訴え、反政府組織に命を狙われても、家族や周りの人たちに支えられ、『一冊の本、一本のペンで世界を変えられる』と訴え続けてきた」と紹介し、女性の活躍の重要性を訴えた。この集会は、世界各国の女性指導者も多数参加して盛大に開かれた。
W20セッションでは女性たちが企業や社会に参加できる「地方活性化と雇用創造、そのためのリーダーシップ」、「ジェンダーギャップの解消を通じた新しい成長のカタチ:女性のエンパワーメントを実現ためのガバナンスとは」、「多様性を育てるメディアとコンテンツ」、「女性の参画と紛争予防・平和構築・復興」、「女性企業家が創る新しい市場価値」、「ジェンダー投資:世界の新潮流」などのパネル・ディスカッションが行われた。そこで意見を交わす女性指導者らはほぼ一様に、「男性と共同で行かなければならない。時間は男女ともに差別がないためだ」と主張した。最終的には、「男性たちが女性の話を聞いて配慮する文化は定着されなければならない」という結論に至った。
韓鶴子総裁は人類の平和のために、韓国と日本、ヨーロッパ、アフリカ、ネパールをめぐりながら、各家庭に神様を迎える430家庭運動を展開して活動しておられる (月刊朝鮮2月号参照)。女性たちが母と妻、姉、妹の役割をする社会が来れば、今より一層明るい未来の世界が訪れ、各分野で女性の力が発揮される。
私たちのすべきことは?
この時代における「私たちのすべきことは何だろうか?」と考えてみる。非核化問題において、ハノイでの米朝首脳会談が決裂された後、我々が当面する問題は、女性のパワーが世の中を変化させるだろうと信じている。人権問題も家族愛によって解決されると考える。女性たちが先頭に立って、力のない老人のためのゴミ片づけ運動を広げるならば、その温かい心によって南北や韓日、米朝や世界に連結されるだろうと私は確信している。その理由は一家族であるためだ。そのような意味で、「家和万事成(いえわしてばんじなる)」について、もう一度考えてみる時だ。
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