平和統一を祈願しながら、各地をバスで巡る在日同胞祖国訪問ツアー(委託旅行社:世一観光㈱)が8月23日から2泊3日のスケジュールで開催され、全国から会員、関係者ら30名が参加した。この期間は台風19号、20号のダブル台風が韓国・日本で吹き荒れ、一部地域の参加者の現地到着が遅れることがあったが、全体としては天候に恵まれた日程となった。またこの期間、朝鮮半島では南北離散家族の再会も進められ、「統一」を意識し、在日同胞の祖国愛を育てる期間ともなった。各地を巡るバスの中では、朴星勇組織局長による総合司会のもと、参加者らの自己紹介や歌、感想などを共有する時間、本部からの活動報告などが持たれた。参加した在日同胞からは、「早くに親を亡くし、もっと話を聞いておけば良かった」とのエピソードもあり、古印刷博物館でも学んだように記録に残す大切さを改めて感じる時となった。金源植事務総長は、日本語もわからずに在日のインタビュー100時間を情熱を持って行っている月刊朝鮮の記者の例を挙げながら、「在日同胞をもっと愛していこう」と参加している地方責任者に呼び掛けた。
初日のプログラムで、一行は南楊州総合撮影所に向かった。この撮影所は映画「JSA」が撮影された場所でもある。ガイドの解説によれば、「最近、韓国では映画村は釜山に集中しており、JSAのセットなども、来年には釜山にオープンし、観光客が楽しめるように準備が進められている。しかし、今年の南北首脳会談の影響もあり、この映画村では板門店セットだけが公開されている」との事だった。参加者一行は、ごくわずかな時間であったが、板門店セットでDMZを疑似的に越える体験をしながら、民間レベルにおいても自由往来ができることを強く願った。
その後、一行はソウル特別市に移動し、ユニバーサルアートセンターに向かった。リトルエンジェルスの団長、韓国文化財団・ユニバーサル文化財団理事からの歓迎と説明を受け、オペラハウス風に建築された劇場や次の公演のために練習をしているエンジェルス団員の練習風景を見学することができた。この劇場は、1日あたり日本円にして約5万円程度で一般にも貸し出ししており、創設者の芸術に対する思い、そして劇場を作りあげてきた人々のエピソード、リトルエンジェルの各国での活躍の様子などを伺うことができた。
翌日、一行は京畿道坡州の最北にある臨津閣(イムジンガク)に向かった。現地では韓国UPFが主催する「UN創設73周年記念 米国6.25参戦烈士天地解怨式」にまず参席し、その後、「ONE KOREA! PEACE ROAD 2018 統一大長征縦走完了式」に参加した。オープニングの式典の後、縦走完了記念メダルの贈呈や千羽鶴の贈呈、元統一部関係者、主催者らの挨拶の後、代表ライダー3名のスピーチ、平和メッセージ宣言、平和の鐘の儀式が持たれた。挨拶のなかで宋光奭UPF会長は、「今回、日本の北海道稚内の平和公園で鐘を鳴らして始めたので、この場でも鐘を鳴らして平和統一を祈願する」と述べ、代表ライダーと共に平和統一聯合からは金源植事務総長も参加して平和の鐘を3回打ち鳴らした。「ゴーン」という長く響く鐘の音は、平和統一の願いと共に対岸の北朝鮮へも届いたであろう。今回、韓国で開催されたPEACE ROADには、日本からは5名参加しているが、そのうち2名が平和統一聯合のツアーにこの行事の後、加わった。今回、シンガポールから参加しているツアー参加者はこの大会参加後、「壇上で語る責任者や若者たちの話を聞いて、PEACE ROADの意義について正しく理解した」と感想を述べた。
その後、一行は忠清南道牙山市にある鮮文大学校を訪ねた。今後、日本に住む在日同胞が鮮文大学の講座を学べるための道を切り開くためのものだ。黄善祚総長をはじめとして教授陣らの歓迎を受け、就職率が韓国で2位など大学の実績や現在の学部、韓国語教育院の内容、創設者の理念などについて説明を受けた。その後、校内にある博物館を見学し、学芸員から説明を受けながら、伝統的な青磁や工芸品、韓国内に残る聖書の写本などの展示物を見学した。
最終日の最初のプログラムは清州韓氏の始墓への参拝だ。墓地では、清州韓氏中央宗親会の代表者の案内を受けながら、墓地のマナーや由来、風水に関する事、陰暦10月の時亨祭(シヒャンジェ)、家族を大事にすることが大切、心からやりたい事をやる事が大切など面白可笑しくお話しを伺った。この時亨祭には毎年1000名を越える方々が参加されているそうだが、平和統一聯合ではこれからも日本の各地の韓氏関係者に呼び掛けていく。
その後、一行は清州古印刷博物館を訪ねた。この博物館は白雲和尚らが1377年、清州興徳寺で金属活字によって発刊したことを記録・展示するもので、ドイツのグーテンベルグより70年余りも遡るという内容を現地の平和大使から説明を受けた。グーテンベルグのほうは、より一般大衆に情報を伝えるものであり、こちらの金属活字(直指)は文字を読むことのできる限定された人々に限って使われたことが評価が下がった背景にあると言う。現在、現物はフランスの博物館に収められており、10年間のレンタルを求めるため韓国内で3万人の署名運動がなされているという報告があった。この直指の金属活版印刷方法は2001年9月にユネスコ記憶遺産に登録されている。
その後、ツアー参加者らは仁川空港、金浦空港で再び会う日の約束を交わし合いながら、それぞれの帰路と旅立って行った。
お知らせ
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