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黄七福自叙伝「民団は原点に返れ」

 

黄七福自叙伝77

「ああ祖国よ 我れ平壌で叫ぶ時 祖国は統一」

 

第5章 在日同胞の将来を考えつつ

民団は原点に返れ

産経新聞『正論』に「親北左派に乗っ取られた民団中央」という戦慄すべき記事が載った。

まことに恥ずべき事態であり、民団中央の顧問の立場からしても、まさに驚天動地の心境である。

周知のように、日本の植民地政策によって苦しめられたわが同胞が、日本の敗戦によって解放され、自由を手にした。

祖国は独立し、マンセーのこだまするなか、全朝鮮人の団体として「朝鮮人連盟(朝連)」が組織された。

しかし、その朝連の指導部は、いつの間にか共産主義者らに乗っ取られ、戦時中、タコ部屋で苦しんだ多くの同胞を救った金天海を最高指導者に戴いて、多くの同胞の目や心を欺き、深く過激に左傾路線を走ったのである。

そうした実態を知った自由民主を信奉する人士は、朝連の左傾化路線に反対した。そのため、拳銃で脅され、激しいリンチを加えられて瀕死の重傷を負った者もいる。

そうした抵抗が、建青(朝鮮建国促進青年同盟)となり、朴烈を戴いた建同(新朝鮮建設同盟)となったのである。

そうした反共と自由民主の組織が大同団結したのが民団である。

われわれは、このことを常に想起しなければならない。民団の原点は反共であり、自由民主主義であるということである。

思えば、「北朝鮮は地上の楽園」という甘い宣伝に惑わされて、多くの同胞が北送された。

このとき、民団はどれほど激しく「北送反対闘争」を実施したか。多くの地で総連と衝突し、血の惨劇もあった。

朴正熙大統領の治世下には「七・四共同声明」が発表された。しかし、驚くべきことに、北朝鮮はその裏で南侵トンネルを掘削していたのだ。

そのほか、大韓航空機爆破事件、ビルマでの閣僚爆殺事件、等々、思えば思うほど、筆舌に尽くしがたいほどの苦い思いをしてきた。

あるいは、韓民統による反政府活動と民団破壊工作も決して忘れることのできない陰湿な事態であった。だからこそ、敵性団体として、民団社会から除名せざるを得なかったのだ。

その韓民統、今は韓統連という名称だが、そうした敵対陣営と倶に天を戴く関係であってはならないはずだ。

それをあろうことか、倶に天を戴くかのごとく、六・一五集会への参加をお伺いするような姿勢にへりくだっているありさまである。

反共のため、自由民主のために全身全霊を傾けて闘ってきた民団組織の威厳と栄光を、自ら踏みにじる行為であり、天に唾する行為である。民団組織を純粋に守護してきた者らにとっては、決して許すことのできない事態である。

大きな声で言いたくないが、金正日政権は、暴力団組織のごとく、麻薬密売、拳銃密売、偽ドル発行と狂奔している。

このような犯罪は、国家としては絶対にしてはならない犯罪なのだ。飢餓する国民には一顧だにせず、そのような先祖に顔向けできないような犯罪を平然と行い、核兵器で恫喝するという金正日政権 は、この地球上から一刻も早く消滅すべき権力集団である。

にもかかわらず、民族の恥辱たる金正日政権を擁護する韓統連、総連という左傾組織は、厚顔にも民族の恥をさらに上塗りする以外の何物でもない。飢餓の国民には一顧だにせず、金正日ファミリーの栄華のみを追求する金正日政権は、この地球上に存在する意義もない。

民団としては、総連や韓統連の悪質な民団破壊工作を耐え忍び、組織を防衛、発展させてきた。その最たる目的は、差別多き日本の地ではあるが、植民地時代の苦渋を止揚して永住を決意し、日本の国民と仲良く手を携えて、よりよき生活のための待遇改善を積極的に推進していくことである。

その一環として、参政権獲得運動があることはいうまでもないが、拉致被害者の救出も、是非とも推進しなければならない人道事業である。

脱北者支援も同様である。そのような事業を後退させることは、許されないことであり、民族の恥辱以外の何物でもない。

歴史は繰り返すというが、干支が一回りする六十年、民団が還暦を迎えて、もとの振り出しに戻るように、左傾勢力に乗っ取られる危険に瀕している。

こうした危機は、原点に戻って、叡智を搾り出し、乗り切らねばならない。

祖国の平和統一は、民族の悲願である。この悲願を達成するためには、民団は民団で、強い姿勢を持ち、過去を誠実に検証して、そのレールを走ればいいのだ。自信をもって走ればいいのだ。

総連や韓統連に迎合することはいっさい必要ない。民団の事業計画案を自信をもって履行すればいいのだ。

総連のトップと合意しても、その合意は口先だけのものであることは、七・四共同声明の際の一連の出来事を振り返れば一目瞭然だ。合意のポーズが、真の和合ではない。

総連や韓統連を引き込むことが和合ではない。民団が民団の道を誠実に着実に進めば、それが和合の道なのだ。それが平和統一への道なのだ。

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