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黄七福自叙伝「統一に名を借りた反政府集会のこと」

 

黄七福自叙伝50

「ああ祖国よ 我れ平壌で叫ぶ時 祖国は統一」

 

第4章 民団大阪本部の団長として

統一に名を借りた反政府集会のこと

「朝鮮統一のための第二回世界会議」という、統一に名を借りた反政府集会が一九七九年十一月末に東京で開催されたが、民団はこの会議開催の反対抗議活動を展開した。

青年会中央本部は十一月二十六日から三日間、東京・数寄屋橋公園で二十三人が抗議のハンガーストライキを敢行した。

民団大阪本部も洪正一事務次長、宋政模国際・宣伝部長らが大阪入管事務所を訪れ、世界会議に参加する北朝鮮代表団、国際左翼分子の日本入国の規制を強く要請、瀬戸山法務大臣宛の要請文を伝達した。

この抗議により日本側は「世界会議に北朝鮮代表団の入国を認めない。また、他国の場合も、同大会への出席が目的の入国を許可しない」などの基本方針を固めた。

同世界会議の関西集会が十一月三十日に難波体育館で開かれた。

民団大阪本部は二百人が参加してビラなどを配布、会場正面で会議粉砕のシュプレヒコールを敢行した。

私は、

「東京と大阪における韓国抜きの世界会議なるものは、第二の韓国動乱をたくらむ金日成の戦争政策に加担し、わが民族から自由と平和を奪おうとするこのような会議は、アジアと世界の緊張を激化させる以外の何ものでもない」

と力説した。

 

[声明文]

①祖国の統一は南北双方が初めて合意した七・四共同声明の統一原則に立脚して自主的平和的に達成されなければならない。それには南北当事者の対話と南北不可侵協定の締結が先行されなければならない。

②金日成は祖国の平和統一と世界平和を希求した第三十回国連総会の決議を遵守せよ。

③金日成は武装ゲリラの南派、朴大統領狙撃事件、米軍オノ殺害事件、南侵トンネルの掘削、いわゆる世界会議などに見られるような三大革命綱領に根ざした武力南侵赤化統一の妄想から覚めよ。

④ベトナムやカンボシアの例に待つまでもなく戦争による統一はその国の民衆を塗炭の苦しみに追い込んでいる。社会党委員長・飛鳥田一雄、共産党委員長宮本顕治、総評議長慎枝元文は金日成の戦争統一政策の片棒をかつぐことによって、わが民族史に永遠の汚名を残すよりも、自主的平和統一を願うわが民族の声に耳を傾け、人間正義の道を歩むことを促がす。

われわれ在日韓国人は、祖国が再び戦争の惨禍に見まわれないよう金日成の戦争政策を厳しく糾弾していくと同時に忍耐強く南北対話を呼びかけていく。われわれは金日成がわが民族の人的・財産の損失を招くだけのこれまでの対立政策を中止し、祖国と在日同胞社会の発展と繁栄を期す善意の競争の隊列に加わることを促がす。

 

[抗議文]

北朝鮮金日成共産集団とその手先・朝総連の背後操縦によって、きたる十一月二十七日から三日間東京でいわゆる「朝鮮統一を支持する第二回世界会議」なるものが開催されようとしているが、これは七・四南北共同声明で南北双方が合意した祖国の三大統一原則に反するものである。

祖国の一日も早い自主的平和統一を熱烈に念願するわれわれ在日韓人は南北共同声明の基本精神にそむき、統一問題の南北当事者解決の芽を摘むこのような、政治会議の不当性を断固糾弾するものである。

北朝鮮は一九五〇年六月二十五日赤化統一を達成するため韓国動乱を引き起し、十万人の非戦闘員である善良な同胞を残虐に殺害した。五千万韓民族は悲惨な同族相争の戦争を二度と引き起してはならないと固く誓った。このような全族の意を体して一九七二年七月四日南北共同声明が発表された。

しかるに昨今の実情はどうか。統一問題や南北一千万離散家族の再会問題などを話し合うための南北対話は韓国側の度重なる再開要求にかかわらず、北朝鮮の一方的な拒絶によって中断されたままである。

また韓半島に平和を定着させるため、韓国が提案した南北不可侵協定締結には応じないで、対米「平和協定」を提案するなど北朝鮮は共同声明の統一原則を大きく踏みにじっている。

このような韓国側の自主的平和統一に向けた数々の民族愛に満ちた案にもかかわらず、北朝鮮は相も変わらず武力南侵赤化統一の妄想にかられ、戦争挑発をほしいままにしている。

一九五三年七月二十七日の韓国動乱の休戦協定成立以後、今日に至るまで北朝鮮三千五百余回という驚くべき数字にのぼる挑発をくり返してきた。最近に至っては七四年八月十五日の朴大統領狙撃事件、七六年八日十八日の米軍オノ殺害事件、さらには共同声明発表当時から掘り進めていた南侵第一トンネル(七四年十一月十五日)、第二トンネル(七五年三月十九日)、第三トンネル(七八年十月二十七日)の発見などは北朝鮮の武力南侵赤化統一の野望を満天下に明らかにしたものである。

今回のいわゆる「世界会議」も北朝鮮の武力南侵赤化統一の陰謀を支援し、韓半島の第二のベトナム化を工作するものであり、われわれ在日韓国人はこれを決して容認しない。

われわれ在日韓国人は五千万韓民族と世界の人々が願う韓半島の自主的平和統一の熱望にそむき、南北の分断固定化の助長と韓半島に新たな戦争要因を作り出し、アジアひいては世界の自由と平和、民主主義の破壊をたくらむいわゆる世界会議開催を断固糾弾、抗議するとともに、南北共同声明の基本精神に立脚した南北当事者の話し合いにより、韓半島を平和的に統一するという人間正義の隊列に共に加わられんことを促すものである。

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