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黄七福自叙伝「フジテレビの『朝鮮征伐』表現」/「宮崎県佐土原人形の由来書」

 

黄七福自叙伝56

「ああ祖国よ 我れ平壌で叫ぶ時 祖国は統一」

 

第4章 民団大阪本部の団長として

「フジテレビの『朝鮮征伐』表現」

一九七五年八月九日(月曜日)午後九時から同九時五十四分にかけて放映されたフジテレビ「さらば浪人”ひょうたんから駒の物語”」の中で「秀吉の朝鮮征伐」というセリフがあった。

民団大阪本部と青年会大阪府本部は、翌十日午後、関西テレビを訪れ、「朝鮮征伐」という言葉は罪ある者、悪い者を攻め討ち正すとか、害あるものを退治するという意味をもつものであると指摘、これは韓国と韓民族を侮辱するものであると抗議した。

関西テレビは、この抗議を受け入れ、八月十六日(月曜日)の同番組で「おことわり」を字幕と音声入りで放送した。

なお関西テレビが一九七五年八月十九日付で、民団大阪本部団長・黄七福、青年会大阪府本部会長・権甲植宛に提出した釈明文は次のとおり。

 

[釈明文]

去る八月九日(月)午後九時~午後九時五十四分枠で放送いたしました「さらば浪人”ひょうたんから駒の物語”」(脚本野波静雄、監督安田公義)の中で「秀吉の朝鮮征伐……」という台詞がありました。

このことばは文禄・慶長の役で秀吉が当時朝鮮に出兵した史実を一方的観点から表現したものであり、また今日一衣帯水の隣国との友好親善が強く叫ばれ相互に正しい理解と認識を深める必要のある時民族差別意識をもった台詞を放送したことに対して責任を痛感いたしております。

私どもは直ちに制作及び番組発局たるフジテレビジョンに呼びかけ翌週八月十六日(月)の同枠で別紙の通り「おことわり」(音声入り)を放送し、これを取り消しました。

今後はかかる現象の再発防止とこれを契機に一層の相互理解と友好親善に努力いたします。

編成局長・串宮玄三

 

宮崎県佐土原人形の由来書

一九七五年十一月一日、民団大阪本部は、宮崎県大阪事務所内に展示してある「佐土原人形」の説明書に”朝鮮征伐”という言葉が用いられていると抗議した。

これに対し、翌十一月二日、大阪事務所の堀寛所長らが来団して遺憾の意を表し、直ちに説明書を撤去し、善後策等を県庁に報告したことを明らかにした。一カ月後の十二月三日、宮崎県の四本茂・商工労働部長らが来団し、陳謝した。

佐土原人形は日向国佐土原の城下町(現在宮崎県佐土原町西佐土原地区)で造られたもので、慶長の頃の佐土原は島津氏の支配下にあった。

「日本人形玩具辞典」(斉藤良輔著、東京堂出版)によると、佐土原 の土人形は今から約三百年前、朝鮮の陶工によって創始されたと記述されているが、その陶工は、文禄・慶長の朝鮮侵略によって、島津義弘軍が拉致してきた朝鮮人であったといわれる。

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