「私から始まる平和統一」 エッセイ部門 「”우리”精神」 世界には、本当に些細な違いで人種の壁、文化の壁、人と人との心情の壁など様々な形の見えない壁が存在する。 そして、私達はそれを何の疑いも無くそのままの事実として受け入れてしまっている事も多いのではないだろうか。 しかし実際にその場に行き、その文化に触れ、人々と接したら知らず知らずに受け入れてしまっていたその壁が崩れる時があるだろう。 私は今回韓国に行く機会があったのだが、改めてそれを感じた。 私は学生時代、友達と韓国に旅行に行こうと思い当時アルバイトしていた喫茶店のオーナーに相談した事があった。するとオーナーは、「韓国と日本は仲が悪い。日本人が行くのは危険だからやめた方がいい」と言う言葉が返って来たのだ。それを聞き私も「日本人が行ったら危ないんだ。それならやめた方が良いのかな」と思い、その時は旅行を断念してしまった。 確かに当時は今程日韓の関係もまだ進展しておらず、今の様に韓国文化が流入していなかった時代だった為、韓国はどんな国なんだろう?と思いつつも、同じ様な話を他でも聞く事があり、韓国に対して少し怖いイメージを持ってしまったのを今でも覚えている。 しかしその後、韓国へ行くチャンスが再度到来し、私は行く事にした。すると、私が恐れていたイメージとは違い、町に活気があり、温かい情に溢れる国だと分かり一気に好きになった。 そしてもっと韓国の人達と触れ合いたいと思い、言語を勉強し始め、今では韓国人の友達が日本にも韓国にも出来、今回の訪問では家に泊めて貰うまでになった。 人と人が直接触れ合う事で、その国の文化や情を肌で感じる事が出来る。韓国語は、言葉の前に「우리 私達」と言う言葉を付けるが、個人単位ではなく、「우리 학교」「우리 가족」など自分が属する団体全体で物事を考える文化が韓国にはある。 今回も私を家族の様にもてなしてくれ「何が食べたい?」「何処に行きたい?」と本当に良くしてくれた。勿論私が外国人だからと言う事もあるかもしれないが、長い歴史の中で日本と韓国は複雑な関係を続けて来た。今でも敏感な部分がある為、政治的観点、国単位で見るとまだ難しい部分もある。 しかし、一対一の人と人との関係になれば本当に温かい情で接してくれる人達が沢山いる国なのである。 荷物が多くて改札から出られなかった時助けてくれたおじさんもいた。 見知らぬ人にも温かい情で接してくれるのだ。 きっと北と南も国単位で考えると難しい事が多いかもしれないが、人と人との関係になれば同じ民族、統一を願う思いは一つになれるのではないだろうか。 こんなにも温かく深い情に溢れた民族なのだから。 「우리 私達」の言葉の様にきっと一つの家族になれるはずだし、私もそれを願っている。 その為に私に出来る事は何なのか。 また改めて考えて見ようと思う。